創業当時の相合家具製作所は、パチンコ店やスナックなどに納品するパイプ椅子を得意とする業務用家具メーカーでした。弊社は「業務用家具」というカテゴリーで、業界に先駆けて初めてカタログ販売を始めた企業なのですが、当時のカタログを見ても、そのことを伺い知ることができます。そんな業務用家具メーカーの代表格でもあった弊社が、ある意味大きく舵を切ることになったのがモールドウレタンとの出会いです。モールドウレタンは、従来のスラブウレタンと比較して高い耐久性を持ち、また、自由な形状に成形できることから、弊社はいち早くその可能性に注目し、開発に着手しました。1980年代初頭の事でした。その代表的な商品が、2002年に相合家具製作所が初めて自社でデザインし、現在でもベストセラーとなっている
リムカシリーズです。
新たなスタンダードを
2019年、コロナウイルスが世の中を席巻し、かねてより謳われていた「働き方改革」はコロナ禍により一気に前進することになりました。在宅勤務、リモート会議、様々な働き方が登場し、検証と最適化が繰り返されていく中で、変化の多いこれからの時代にあるべき家具の姿とは・・・。私たちの出したひとつの回答が、リムカシリーズの意思を引き継ぐ、様々な変化に対応しながら、かつ空間に溶け込むデザインを持ったチェアシリーズでした。リムカシリーズを相合家具製作所の「原型」とすれば、20年余りの時を経て技術やノウハウも進化を遂げ、椅子の原型をコンセプトに新たなスタンダードを私たちはご提案します。
THE PROCESS
計算され尽くした設計
住空間と人間工学について考察した「インテリアの人間工学」(※1)によると、椅子のプロトタイプはどのような状況で椅子を使用するかによって4つのプロトタイプに分けられます。カーメントシリーズはその中でも集中した作業から軽い休憩(プロトタイプ1~3)までの用途に対応するべく比較的しっかりとした背当たりと、モールドウレタンにスラブウレタンを追加することで柔らかでありながらしっかりとした座り心地を可能にしています。
また、弊社が得意とする張りの目線からは、最終形を想定し設計することで、柔軟な張地対応を可能にし、様々な空間を彩ることが可能になります。また、シリーズ化された商品で空間をコーディネートできるように、背の高さも通常のハイバックと低めのローバック、脚部バリエ―ションも一般的なスチール脚に加えて、わずかΦ16のミニマルなキャスター脚であるCCS、ハイカウンターにも使えるスタンドタイプと豊富なバリエーションをご用意しました。
※1 「インテリアの人間工学」 監修:小原二郎 著者:渡辺秀俊、岩澤昭彦共著
シンプルであることへの挑戦
これまで
ヴィストや
フラッターなど、モールドウレタンが可能にする自由な造形の可能性に挑戦してきた相合家具製作所が、あえて造形を前面に押し出すことなく、現代の空間にいかにマッチするかを考えて送り出したカーメントシリーズ。様々な造形が溢れ、選択肢が多くなっている現代において、シンプルであるからこそ空間に馴染むチェアシリーズの登場です。