私たち相合家具製作所(以下、SOGOKAGU)は、インテリア業界や家具業界では「業務用家具メーカー」として知られています。弊社の公式サイトにも、会社概要には「私ども相合家具製作所は、主に業務用コントラクト家具を企画・製造・販売するメーカーです。」と記載されています。
では、「業務用家具メーカー」とは一体どのような会社を指すのでしょうか?業界の方にとっては当たり前すぎる話かもしれませんが、ちょっと深堀りしてみようと思います。
音楽にクラシックやロック、レゲエなどの「ジャンル」があるように、家具にも「ジャンル」があります。家具のジャンルは大きく分けて3つです。ひとつは皆さんが家庭で使用しているダイニングテーブルやベッドなどの「ホームユース家具」、もうひとつは会社などで仕事をする際に使うオフィスチェアやキャビネットなどの「オフィス家具」、そして、飲食店や図書館、大学などの空間で使用されるイスやベンチなどの「業務用家具」です。
「ホームユース家具」の代表としてはニトリやIKEA、「オフィス家具」の場合はイトーキやコクヨ、そして「業務用家具」の場合は弊社やオリバーを始め、たくさんのメーカーが存在します。
-業務用とコントラクト
しかし、ちょっと待ってください。先程のSOGOKAGUの会社概要には「業務用コントラクト家具」と記載されていました。実は業務用家具は「コントラクト家具」とも言われます。コントラクトとは英語で「契約(Contract)」を意味します。「業務用」を英語でいうと「Business use」なので、実はこの「Contract」という訳し方にポイントがあります。ホームユース(家庭用)の家具を買う際は、一般的にお店で購入してお金を支払うため、「契約」が発生することはありません。しかし、私たちが扱う家具はいきなりお客様が会社に来て家具を買うようなことはなく、企業や自治体、施設向けに一種の契約を結んで売買を行うことからコントラクト家具と呼ばれます。
これはオフィス家具の場合も同様で、つまり、「コントラクト家具」という呼び方には「業務用家具」と「オフィス家具」が含まれるような意味合いがあります(ただし、一般的には業務用家具をコントラクト家具と呼び、オフィス家具とは区別されることが多いです)。
-「業務用家具」という概念の誕生
では、この業務用家具とはいつできた概念なのでしょうか?これは実は非常に難しい問題になります。まず、家具の歴史ですが、座るもの、書いたり食べたりする際に使うもの、物を置くもの、入れるもの、寝るためのものなど、生活していくうえで身の回りにあるそういった「役目」を果たすものは「家具」と言えてしまうからです。現在見つかっている最古の家具としては、スコットランドにあるスカラ・ブレイと呼ばれる紀元前3100年頃の遺跡で、その住居跡には食器棚、イスなどの石造家具が多く見つかっています。しかし、これは現在見つかっている最古の家具に過ぎず、もっと古い時期から家具が存在していた可能性も十分考えられます。
当時、業務用家具が存在していたかどうかはわかりませんが、とにかくかなり古い時代からそのような用途に用いられる家具も存在していた可能性があります。
では、次回のコラムでは、この業務用家具の歴史について代表的なメーカーやブランドを紹介しながら解説していきます。